日米中 2020 3 8

書名 アメリカの大楽観時代が始まる
著者 日高 義樹  徳間書店

 日本が思う対中関係は、
「隣国であるので、うまくやっていきたい」というものでしょうが、
アメリカが考えている対中関係は、厳しいものがあります。
 多くの日本人は、今の米中関係とは、
関税で象徴される貿易戦争を連想するでしょう。
 トランプ大統領が、中国に対して、厳しい関税を課して、
貿易赤字の解消を考えている。
だから、トランプ大統領は、厳しい人だと思っているでしょう。
 しかし、アメリカ全体を見渡すと、
トランプ大統領は、そんなに厳しい人とは言えないでしょう。
なぜならば、トランプ氏は、「交渉の達人」を自負しているからです。
 トランプ政権内の重要スタッフは、
対中強硬派が多数というよりは、対中強硬派しかいません。
 アメリカが目指しているものは、単に貿易赤字の解消ではなく、
中国の経済体制の変革であり、最終的には民主主義体制への移行です。
 かつて、アメリカでは、まるで念仏のように言われていたことがあります。
「中国人が豊かになれば、中国は民主化される。
だから、我々は、中国の経済的な発展に協力する」
今、アメリカは、「裏切られた思い」が強いでしょう。
 かつて、温家宝首相は、主要な大会が終わるたびに、
記者団との懇談で、中国の民主化の必要性を訴えていました。
これには、理由があったのです。
 さて、連邦議会は、トランプ政権よりも、もっと厳しいものがあります。
「トランプ政権のやり方は、手ぬるい」と見ています。
 連邦議会が相次いで成立させた法律を見れば、
トランプ政権がやっている「関税戦争」は、実に軽いものだったとわかるでしょう。
つまり、「関税戦争」は、単なる「入り口」に過ぎません。
 「関税戦争」はテレビ向けの「ショー」であり、
21世紀の米中関係を規定するものは、連邦議会が成立させた法律です。
日本の経済界は、こうした法律をご存知でしょうか。
 2018年10月、ペンス副大統領がハドソン研究所で、
対中政策を演説しましたが、
この演説は、「ついに中国と冷戦が始まった」と言われました。
 アメリカは、ソ連と長期にわたって、冷戦を続けました。
このような冷戦が、どのようなものだったのか見えないものがあり、
一種の「見えない戦争」だったかもしれません。

GOP Grand Old Party 共和党 2018 10 14

書名 日本人の知らないトランプ再選のシナリオ
著者 渡瀬 裕哉  産学社

 著者によると、2017年は、
二重の政権交代があったという。
 つまり、オバマ政権からトランプ政権へ、
そして、「共和党主流派」から「共和党保守派」へ
政権交代があったという。
 日本人が知る「共和党」とは、
「共和党主流派」のことでしょう。
 こうした「共和党主流派」に属する人たちは、
テレビや新聞によく登場して、知名度も高く、
たいていの日本人が「どこかで聞いたことがある」と思うでしょう。
 ただし、「共和党主流派」の人たちは、
なんとなくリベラルな「におい」がすると思ったことがあるでしょう。
 そのように思う人は、勘がよいのです。
実は、アメリカでは、「共和党主流派」の人たちは、
「Republican in Name Only」と呼ばれることがあるのです。
つまり、「名ばかりの共和党員」ということです。
 著者によると、「共和党主流派」は、
議会における投票行動が民主党に対して妥協的であることから、
「Republican in Name Only」として保守派から糾弾されているという。
 さて、日本人にとって、「共和党保守派」は、
あまりメディアに登場しないので、
「見えない存在」、つまり「ステルス派」のようにも思えますが、
最近は、日本のメディアでも登場するようになったでしょう。
 「共和党保守派」の代表格と言えば、ペンス副大統領でしょう。
だからこそ、ペンス氏の発言は重みがあると言えるでしょう。





























































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